健康寿命を延ばす

2019年5月19日

 60歳を超えると筋力が低下しやすくなり、75歳を過ぎるとガクッと体力が衰えると言われています。その結果、寝たきりになると健康寿命が終わります。この健康な状態から要介護状態へ移行しつつある状態は「フレイル(虚弱な状態)」と呼ばれていますが、適切に対応すれば、また元気な状態に戻ります。フレイルの予防やフレイルからの回復には、運動とともにカロリーとたんぱく質を摂ることが必要です。
 寝たきり予防の運動は、「筋力強化運動」と「バランス運動」であり、スクワット運動や立ち上がり運動を勧めます。スクワット運動とは立ち上がった姿勢から膝を曲げてしゃがみ込んでから、また立ち上がるのを繰り返す運動です。歯ブラシやシャンプー、電動ひげそり時等にスクワットを併用すると、脳科学的にも複数作業の同時進行による脳の活性化が期待できます。
 机の前に椅子を置いて、机に手をつきながら立ち上がってまた座るのを繰り返す立ち上がり運動もいいでしょう。いずれの場合も、無理をせず、初めは10回程度を1日3回から開始します。慣れてきたら30回くらいに増やしていきます。スクワットも立ち上がりも筋力強化とともに耳の奥でバランスに関係する三半規管を鍛えてくれ、転倒予防効果もあります。
 栄養補強、特にたんぱく質摂取を増やすことも大切です。量を増やさずカロリーアップも同時に目指す場合、マヨネーズやきな粉を上手に使います。ごま油やオリーブオイルを主食やおかずに垂らすのも効果的です。卵・納豆・大豆・豆腐なども使いましょう。高齢になると吸収が悪くなるため、肉も若いときよりも多く摂るくらいでちょうど良くなります。
 また、家でテレビばかり見るのではなく、自分の得意なことを誰かと話す機会を毎日作るようにしましょう。
 このように人と交わり、おいしいものを食べ、立ち上がり運動をしていけば、90歳以上でも転倒しにくく寝たきりにならずに健康寿命を延ばせることが分かっています。