肛門をいたわろう

2016年12月18日

 忙しい日常の中で、水分はコーヒー1杯くらいで、毎朝便意がなくてもトイレに行き、息んで排便していませんか。これらは肛門に負担をかける行為です。
 私たちの肛門の奥は直腸ですが、肛門と直腸は鋭角になっていて、直腸の便は漏れにくくなっています。和式トイレの排便時に体は丸くなりますが、これは肛門と直腸の角度は鈍角となり、便が出やすい状態です。ところが洋式便器に座る時、背を伸ばした座位姿勢では、肛門と直腸の角度は鋭角となり、便は出にくくなります。洋式便器に座るときも、お尻から背中まで丸くし、かかとも上げると、肛門と直腸の角度は鈍角となり便は出やすくなります。ちょうど有名な「ロダンの考える人」という彫像の格好です。
 排便時に強く息むと肛門は締まり便はかえって出にくくなります。正しい排便姿勢をしていれば、お腹をへこます程度で十分腹圧は高くなります。肛門の力を抜き肛門を開いた状態で待ちます。直腸に便があれば自然にぜん動運動(肛門に向かって便を押し出す腸管の動き)がおこり便が排出されます。
 ここで大事なのは、便意があったらすぐトイレに行くことです。便が直腸に降りると便意が起こりますが、15分以内にトイレに行きましょう。便を我慢すると、便意はなくなり直腸内で便から水分が吸収されて硬便になり、排便時には粘膜が裂けて裂肛(切れ痔)になります。
 裂肛が治るとき線維化して肛門が硬くなり、繰り返すことで肛門は次第に狭くなります。排便時の出血と激痛から便を我慢すると悪循環に陥ります。
 肛門狭窄になったら便を軟らかくする必要があり、たとえ排尿回数が増えてもカフェインを含まない水分を1時間に1回100mL以上摂ります。目が覚めているときは常に水分摂取を守り、水を薬として飲みます。
 このような状態にならないよう、日頃から優しい排便法を守り肛門をいたわるようにしましょう。栄養は口から摂りますが、その結果としての排便も食べることと同じく大切にしましょう。