私たちは毎日食べて、そして尿や便を排せつするという行為を当たり前に繰り返しています。でも身体が不自由になり、排せつがうまくできなくなると生活自体が大変になります。後始末をなるべく簡単にすることが優先され、快適に排せつすることを忘れがちになります。
排せつに困ったらオムツと考えられていますが、安易なオムツの使用、例えばオムツを何枚も重ねたり、尿をいっぱい吸ったオムツをずっと着けていたりすると、股が開いて不快感が強くなるだけではなく、座位姿勢が悪くなり、胸が押されて誤嚥性肺炎や床ずれの原因になります。
オムツは基本的に外側に用いる「アウター」と内側に用いる「インナー(尿取りパッド)」のそれぞれ1枚ずつを組み合わせて用います。その際アウターの立体ギャザーの中に収まる大きさのインナーを組み合わせます。また、アウターの立体ギャザーを持って股間に添うように持ち上げることで尿が漏れにくくなります。
オムツフィッターは適正なオムツを選択し、使い方を指導するのですが、それは役割のほんの一部です。実は、ベッドが低すぎたり、手すりの位置が悪かったり、床が滑りやすいなどのために排せつの自立ができないことがあります。またトイレの介助バーが横にあるために力が入らないことや、ポータブルトイレの便座やアームレストの高さが合っていないことも、自立の妨げになります。このような住環境の改善でオムツが不要になる人もいます。さらに治療で良くなる方もいます。オムツを使用する場合でも、生活様式などを考え、快適でより活動的になれることを基本に考えます。
オムツフィッターはオムツを含む排せつ用具だけではなく、住環境や医療、食事など幅広い視点から排せつの困りごとに対してアドバイスをしています。今全国に3800名程度、富山県では40名程度のオムツフィッターがいますが、「ミニむつき庵」という排せつに関する相談窓口を2015年中には県内に作ろうと準備をしています。