3食とっていても1週間に1回下剤で硬い便を出している人がいます。高齢者にも多いようです。便秘は硬便がつきもので、切れ痔(じ)になることで排便恐怖症になる方もいらっしゃいます。なぜこのようになるのでしょうか。
便は大腸で水分が取られて硬くなり、S状結腸と直腸で形が整います。直腸に便が貯まると便意が起こり、トイレへ行けばスルリと便が出ます。
便を我慢すると便意は消え、水分が吸収されていきます。便が硬くなるには、水分摂取不足も関与します。
人が生きるためには、1日2500ミリリットル水分が必要です。食事中には約1000ミリリットルの水分が含まれるため、1500ミリリットル程度の飲水がすすめられます。飲水が少ないと、不足分を便から取るため便は硬くなります。この時下剤を飲んでも、体はすぐ慣れて、より多くの下剤が必要になるだけです。もし下剤が勝って、脱水にもかかわらず便が軟らかくなったら、むしろ大変危険な状態です。
では300~500ミリリットルを一気飲みで1日に3回とったらどうでしょうか。急に大量の水分をとると、体は尿を出すホルモンを増やし、一気に尿が出て再び脱水に戻ります。水分は1時間に1回50~100ミリリットル程度をこまめにとるのがコツです。
水分を十分にとり、便意があったらすぐトイレへ行けば、便秘はかなり防げるはずです。逆に水分をとらず便を我慢すれば、当然便秘になります。
ついでに言うと、便中には発がん物質が排出されます。便秘では濃縮した発がん物質が長時間腸壁に接触し、大腸がんのリスクが高くなります。こまめな水分摂取は、快便とともに大腸がん予防にもなるのです。