骨盤底筋体操で快適な排便を

2008年5月18日

 大変痛い切れ痔(じ)は排便法で楽になることがあります。
 私たちが便意をもよおしても便はまだ肛門付近には到達していません。ここで我慢せずにトイレに入ると、便は肛門へと下がり括約(かつやく)筋は緩みます。軽くいきんでもいきまなくても、蠕動(ぜんどう)運動によって便は自然に出てきます。これが自然な排便法です。
 ところが最近は、排便に時間をかけられず、トイレで一気にいきんで出す人が少なくありません。この時、便は肛門へと勢いよく下降します。便を漏らすまいと括約筋は反射的に収縮し、固くなった肛門を便が勢いよく通るため、軟便であっても粘膜が傷つき、切れ痔が始まります。これが繰り返されると、潰瘍(かいよう)化し難治性の裂孔(切れ痔)になってしまいます。括約筋は厚く硬くなり、柔軟性も低下して一日中痛くなります。こうなると、括約筋は弛緩(しかん)すべき時に収縮し、収縮すべき時に弛緩するなど、本来と逆の動きをするようになります。切れ痔の患者に肛門括約筋の機能検査をすると、ほとんどに機能異常がありました。
 切れ痔の中には、排便法で改善する例があります。具体的には、肛門を締める運動(骨盤底筋体操)を毎日何回もすることで括約筋の機能が正常になります。そして肛門が緩む感覚が分かるようになり、肛門が開いた状態で無理なく排便できるようになります。
 ちなみにこの骨盤底筋体操は、女性の尿失禁治療に使われますが、女性はもとより男性にもさまざまなメリットがある優れた体操です。