タンパク質摂取と傷治療

2005年12月18日

 私たちの体の細胞はタンパク質で作られ、新陳代謝というタンパク質合成によって絶えず新しい細胞と置きかわっています。体のタンパク質は窒素を含む関係上、糖質や脂質から作ることはできず、二十種類のアミノ酸を組み合わせて作られています。
 これらタンパク質合成の材料となるアミノ酸は、食事の中に含まれるタンパク質が小腸で分解・吸収されることで、得ることができます。傷が治るときにも、タンパク質合成で新しい組織ができ、傷んだ組織が修復されていきます。
 では、食事中のタンパク質が足りなくなるとどうなるのでしょうか。重要臓器の新陳代謝(タンパク質合成)を行うため、自らのタンパク質(主に筋肉)を分解して、アミノ酸が作り出されます。このようなとき、傷は体の重要臓器とは認識されないために、修復は行われなくなり、できたばかりの新しい組織も分解して悪化していきます。従って、大きな傷をした時だけでなく、重労働や過重な運動をした後も、タンパク質を十分に取っておく必要があるのです。
 一方、タンパク質を過剰に取った場合、余ったタンパク質は肝臓で分解されます。このとき、タンパク質に含まれる窒素からアンモニアという毒物が作られますが、ただちに毒性の低い尿素に変わります。アンモニアは肝臓に負担をかけ、尿素は腎臓に負担をかけます。
 タンパク質は不足しても、取りすぎてもいけないのです。あまり運動をしない人では、一日の摂取カロリー量は1,600kcal位で、タンパク質量は65gくらいが良いと言えるでしょう。