褥創(じょくそう=床ずれ)はお尻の仙骨部のように、骨が飛び出したところによくできます。寝た姿勢では、この部分が体重によって圧迫され続けるからです。骨と体表の間に挟まれた皮膚や皮下組織、筋肉などが長時間圧迫を受けると、血行障害から組織が死んで褥創ができるのです。
体の表面から順に、皮膚、皮下組織、筋肉と続きますが、圧迫の影響を一番受けるのはどこでしょうか。皮膚が接するベッドや布団の表面は平らですが、骨は出っ張っているので、影響が一番大きいのは骨に近い筋肉や皮下組織です。さらに体のすべての組織の中で一番血行障害に強いのは皮膚で、逆に皮下組織や筋肉は血行障害があるとすぐに壊死(えし)してしまいます。
というわけで、目で見ることができる皮膚にほとんど変化がなくても、褥創は皮下組織や筋肉ではすでに始まっているのです。だから、血行障害が皮膚に及んで黒くなったときには、すでに筋肉に至るまでのすべての組織が壊死しているわけです。それで、黒くなった皮膚をはがすと一気に骨に至る深い褥創になったように感じるのです。
皮膚が壊死する前、つまり皮膚が赤くなったり皮下出血が見える程度のときに、除圧マットレスなどで圧迫を除去し栄養を調えると、皮下組織や筋肉を再生させることができます。
褥創を抑えるには、骨の飛び出したところをよく観察し、皮膚障害の軽い時期に発見して早期に対処することが大切です。