蛋白質は食べると消化されてペプチドに、さらにアミノ酸へと分解されて小腸から血液中に吸収されます。炭水化物も同様に消化されて多糖類から最終的には二糖類さらに単糖類へと分解され、小腸からは単糖類だけが吸収されます。ちなみに砂糖は二糖類なのでこのままでは吸収出来ませんが、すぐにブドウ糖と果糖という単糖類2個に分解されて、その後、小腸から吸収されます。
小腸にてアミノ酸やブドウ糖が吸収されるときには、同時に小腸L細胞からGLP-1というホルモンが血中に分泌されます。このGLP-1は膵臓からインスリンを分泌させる作用も持っています。従って、まず蛋白質を先に食べてアミノ酸を吸収させておけば、アミノ酸によるGLP-1分泌でインスリンが出ていることになり、遅れて炭水化物からのブドウ糖が吸収されたときには、血糖値は待ち構えているインスリンのおかげで上がりにくくなります。つまり食後過血糖を防ぐことができます。
2型糖尿病は、まずインスリンの食事摂取後の初期分泌が遅れることから始まり、重くなってくるとともにインスリン分泌自体も少なくなるという経過をたどります。食べた直後のインスリン分泌が遅れる(それで食事直後の過血糖が起こる)のであれば、蛋白質摂取後のアミノ酸吸収で分泌されるGLP-1によってブドウ糖吸収の前に早めにインスリン分泌をさせておけばその分だけ有利になるということです。つまり蛋白質を炭水化物よりも先に食べる方が理にかなった食事の摂り方ということになります。また吸収を遅くする食物繊維も早めに食べておく方が良いわけです。
GLP-1は糖尿病薬として頻用中です。GLP-1を長く作用させる内服薬(DPP-4阻害薬)は日本では最もよく使う薬の一つです。またGLP-1皮下注射はやや痩せやすく、臓器保護への期待からも血糖値改善のために使われています。