糖尿病はいろいろな原因で起こります。かつて、交通事故で糖尿病になった患者さんを受け持ったことがあります。腹部強打して緊急手術となり膵臓をほとんど摘出しました。血糖値を下げるインスリンというホルモンは膵臓で作られて血液中に分泌されます。膵摘出の結果、社会復帰には1日4回のインスリン自己注射が必要でした。また、膵癌や膵炎からの糖尿病や、肝臓・甲状腺・副腎・筋肉などの病気で、あるいは特定の遺伝子異常で糖尿病になることもあります。このような糖尿病は下記のⅢに分類されます。
糖尿病の分類は、Ⅰ.1型糖尿病、
Ⅱ.2型糖尿病、
Ⅲ.その他の特定の機序、疾患によるもの
Ⅳ.妊娠糖尿病
の4種類に大別されます。生活環境の変化から近年急増しているⅡの2型糖尿病が圧倒的に多いために、2型糖尿病のことだけを糖尿病として論じてしまう風潮も見受けますが、気をつけねばならないと思います。いろんな原因があり個々人で事情が異なることを理解し、2型糖尿病と決めつけてしまわないように注意してください。2型糖尿病と思い込んでいたら、実は思いがけない病気に起因した糖尿病(つまりⅢ)であったということもあります。
1型と2型の違いや対応の際などは、後日説明しますが、共通する点は、いずれの型であっても血糖コントロール(血糖値を適切な範囲に保つこと)と、血圧・脂質・体重をコントロールすることが、急性・慢性の合併症予防の要となることです。
糖尿病にはいろいろな種類があることを知っていただき、治療には血糖値を良好に保ち、血圧・脂質・体重の管理も重要であるということをご理解いただければ幸いです。