食べ過ぎによるカロリー過多や運動不足によって内臓脂肪型肥満になり、脂質異常や高血糖、高血圧の状態をメタボリックシンドローム(メタボ)と呼びます。動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞の危険状態です。でも、60歳を超えると、メタボより気をつけなければいけないのはサルコペニアです。
筋肉を増やし、免疫力を高めるためには、タンパク質を十分に摂ることが大切ですが、65歳以下の方が動物性タンパク質を摂り過ぎると、がんのリスクが4倍、全死亡リスクが74%増加すると報告されています。ただし、65歳以上では、逆にタンパク質を十分に摂った方が死亡リスクは減るとされています。
60歳代では何が変化するのでしょうか。メタボの方の特徴として、カロリー過多と運動不足と書きました。運動不足などに加え、加齢による筋肉量や筋力の低下、歩行速度などの運動機能が低下した状態を、サルコペニアと呼びます。サルコペニアの状態では、かむ時や飲み込む時に使う筋肉も減り、食べる時にむせ等も起こります。食事量がさらに低下しサルコペニアが進行する悪循環になります。そして寝たきりに近づき健康寿命が短くなっていきます。
60歳代になると、定年や子どもが多忙になるなどして、人と会う機会が減り、外出もしなくなります。すると筋量が減るとともに、食事量も減り低栄養になります。高齢者の栄養状態の調査では、70%の方が既に低栄養か、低栄養危険状態にあります。
60 歳を超えたら、メタボよりもサルコペニアを予防することが重要です。まず必要なのは、肉・魚・卵・納豆・豆腐・乳製品といったタンパク質を今以上にしっかりと摂ることです。それを実施できたら、散歩、立ち上がり運動(机に向かい椅子から立ったり座ったりする運動)、ラジオ体操など、何らかの運動習慣を付けましょう。また、できるだけ人と会う機会をつくり、会食の機会も増やしましょう。
このようにおいしい食事や楽しい会話をしながら、気持ちよく体を動かして健康寿命を延ばしていきましょう。
2022年12月18日 健康マンスリー