認知症と糖尿病の関係は?

 認知症の3分の2(67%)はアルツハイマー型認知症です。脳血管障害型・レビー小体型と合わせて3大認知症と言われます。その他の認知症としては前頭側頭型、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核症候群などがあり、認知症とそっくりな症状を示す慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症は外科的治療で改善が期待できます。

 ところで、アルツハイマー型認知症は脳の糖尿病と呼ぶ人もいるくらいに糖尿病との関係が深い病気です。この病気は老人斑が特徴で、老人斑はアミロイドβ蛋白が大量に蓄積したものです。2型糖尿病ではインスリンを造る膵臓のβ細胞の周りにアミロイド蛋白(アミリン)が蓄積するということが昔から知られていました。一方、脳ではアミロイドβ蛋白は分解・除去されますが、これが十分にできないと蓄積されて老人斑になります。アミロイドβ蛋白分解の中心はネプリライシンですが、インスリン分解酵素はそれを補佐します。2型糖尿病では、インスリン抵抗性(インスリンが肥満や運動不足などで効きにくい)のためインスリンを一層たくさん出して血糖値を下げようとする結果、高インスリン血症(血液中のインスリン濃度が高い)になっています。インスリン分解酵素が大量のインスリンを分解するために消費されてしまい、アミロイドβ蛋白の分解がおろそかになるのではないかと考えられます。長い時を経て神経細胞内にタウ蛋白が蓄積(神経原繊維変化)して神経細胞ネットワークが破壊されて、やがて認知症の症状が出現します。

 このインスリン抵抗性はメタボリックシンドローム(内臓脂肪肥満)そのものです。インスリンが効きにくい身体(メタボ)は高血圧・高血糖(糖尿病)・高中性脂肪血症・HDL(善玉)-コレステロール低下を起こしてきます。
注意:LDL(悪玉)-コレステロールはメタボとは別のものです。