便秘に悩むあなたへ

2018年12月16日

 硬い便が肛門に詰まり苦しい時、どうすればよいのでしょう。
 水分は筋肉に蓄えられます。従って、女性や高齢者では筋肉が減少しており、すぐに脱水になります。余分な水は尿となって排せつされます。たとえ1リットルの水を飲んでも排尿回数が増えるだけで、2時間も経てば体内の水不足が始まると考えています。
 水分不足が始まると、尿量を減らし、さらに便から水分を吸収していきます。その境は水分を最後に摂取してから2時間後と考えています。つまり、1日1回でも3時間以上水分を摂らなければ、硬便になります。その後、水を飲んでも、硬くなった便はなかなか軟らかくならず、結果として、便の出初めが硬くなります。
 水分が足りなくて起こる便秘では、便秘薬を飲んでも効果は一時的で、かつ危険です。近年、便秘用薬で、特に画期的と呼ばれるものが出ていますが、脱水状態での便秘薬の服薬は、より高度な脱水状態へと導きます。当然、身体は便秘薬への耐性を作って、効果が無くなります。まず、脱水を改善することが必要です。
 対策として当院で勧めている方法は、厳格に1時間に1回、計量カップで水を50ミリリットル測って飲むことです。この時コーヒー・紅茶・ウーロン茶・緑茶など、カフェインの入ったものは水分と考えません。これらは利尿作用があり、飲んだ以上の水が尿として出ていくからです。
 また、食事には十分な水が含まれているため、食事中の水分摂取は不要です。食後1時間目から、水を飲み始めます。50ミリリットルを12回くらいに分けて飲むので、総量600ミリリットル程度であり、心臓の悪い方にもやさしい方法です。8割以上の方で、コロコロ便は解消します。解消しない場合に限り下剤を処方しています。
 夜間ぐっすり寝ているときは抗利尿ホルモンが出て、尿をあまり作らないのですが、途中でトイレに行くようなら、その都度50~100ミリリットルの水を飲みましょう。また、起床直後にはコップ1~2杯の水を飲みましょう。
 年を取るとともに筋肉量が減るので、この水の飲み方は一生継続してください。