糖尿病治療の原則は「カロリー制限食」です。家族の中で一人だけカロリーの低い食事をし、外食しても食べるものはほとんどありません。おいしいものを腹一杯食べたいというのは糖尿病の方の夢です。
アメリカでは現在「カロリー制限食」は現実的とは言えず、「糖質制限食」が現実的と変わってきました。では、「糖質制限食」とは何でしょうか。
3大栄養素は、糖質・脂質・タンパク質ですが、この中で血糖値を上げるのは糖質のみです。食後血糖値の上昇は、肥満や糖尿病の原因です。
そこで糖質量を1日130g以下、1食40g以下にする食事が「糖質制限食」です。糖質はデンプンや砂糖などを指し、主食に多く含まれます。では1食40g以下とはどのような食事でしょうか。主食を食べるなら、ご飯を軽く半膳、あるいはパンなら食パン半切れとし、イモやカボチャなどの糖質のものを食べず、おかずは自由に食べる食事です。あるいは主食を摂らずに、おかずを自由に食べてもかまいません。揚げ物や炒め物も自由に食べてよいのです。お菓子類は糖質ゼロのものも増えてきましたし、アルコールも糖質を含む醸造酒やカクテルを避ければ可能です。
これで「糖質制限食」になるのなら糖尿病の方にとって夢が実現することになります。すでにフルコースのフランス料理を糖質40gで提供するミシュランガイドのレストランもあります。
「糖質制限食」は糖尿病以外の方にもメリットがあり、糖質を制限したメニューを出す有名レストランでは、その半数以上が糖質制限メニューをオーダーされるそうです。料理人の方々も、健康を考えた食事の提供に熱心であり、今後各地で急速に「糖質制限食」が増えていくと期待されます。
注意事項として、当たり前なのですが、通常以上のカロリー(例えば2500Kcal等)を摂ってはいけません。また成長期の子どもや運動をしっかりやっている方には勧めません。実施に当たっては管理栄養士と相談しながらおこないましょう。