うつ病対策は人に優しい会社作り

2007年12月16日

 今や自殺者は一日八百三十人(交通事故死の約三倍)に達し、死亡する国民のうち三十人に一人が自殺者という重大な事態になっています。しかも三十代後半から五十代がピークで、会社にとって重大な損失となります。自殺に至らなくてもうつ病を発症してしまった場合、休職期間は半年以上必要となります。かといって、仕事量を減らし、人員を増やす対策では企業活動が低下し現実的ではありません。職場におけるメンタルヘルスケアとして、予防・早期発見・治療の重要性が認識されてきました。ストレスの原因としては「心理的ノルマ」と「時間の拘束」が挙げられています。
 心理的ノルマを減らすには、上司がひたすら仕事を命令するのではなく、仕事の意義を伝え、自らの意志で仕事をし、達成感を得られるようにすることが大切です。また、上司が帰るまで部下が帰らないなどは問題外で、仕事が早く終わった者は早く帰るなど、時間的裁量権を与えることで拘束感が減るのです。
 「心理的ノルマ」を減らし「時間的裁量権」を与えることで得られるストレス減少効果は「仕事を減らす」場合の三倍もあり、効率的です。
 また決定的なうつ病となる前に身体的異常を伴わない身体症状(心気症)や胃潰瘍や喘息などの病気(心身症)が初期症状としてみられます。この段階で薬物療法と職場環境の調整などを開始することが大切です。これが最新のメンタルヘルス対策です。
 しかし、時間外労働が月百時間を越えるような過重労働では睡眠時間は一日五時間未満となり、脳溢血や心筋梗塞による死亡率が高くなることがわかりました。これらは労災死として認定されます。
 いずれにしても過重労働を避け、メンタルヘルス対策を行うことは企業にとっても家族にとっても大切な人を失わないために大変有益な対策です。